SPACの2015年はこれで幕開けです!
宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』
宮城聰が山崎ナオコーラとタッグを組み、
日本の国民的作家に挑む!
激動の時代を生き抜いた宮沢賢治、
自伝的童話に込めた切実な願いとは!?
作品について
演出家・宮城聰は、宮沢賢治作品の初演出となる今回、等身大の人形を駆使し、変幻自在の劇世界を追求します。初の演劇台本に挑む小説家・山崎ナオコーラとともに、異色のコラボレーションが実現しました。詩人、童話作家として有名な宮沢賢治は、地質学や土壌学の専門家でもあり、貧困を極めていた当時の農民と生活をともにし、収穫量を改善しようと奮闘しました。『グスコーブドリの伝記』は、そんな賢治の人生が反映された物語。「人間は自然とどう向き合うべきか」という難問を身をもって体験する主人公を描いています。先鋭な問いを投げかける名作童話の可能性を見つめ直します。
あらすじ
きこりの息子・グスコーブドリは、妹のネリと仲良く暮らしていたが、深刻な冷害で両親を失い、蚕の繭から糸をとるてぐす工場で働く。火山の噴火で里へ出て、山師・赤髭と沼ばたけの仕事に精を出すが、日照りが続き、やむなく街へ出ることに。クーボー大博士の講義を受け、火山局の職を得ると、噴火の被害を防いだり、干ばつ対策で雨を降らせたり、仕事に熱中するが、幸せの日々は束の間、再び冷害が到来する。被害を最小限にとどめるため、ブドリは立ち上がる。
なぜ、いま『グスコーブドリの伝記』か ── 宮城 聰
いま、火山の噴火をテーマに作品をつくることは容易ではありません。「不用意な表現で、被害にあった方の心を傷つけてしまいやしないか」という心配が先に立ちます。さらに、芸術というものは、広い意味で「人を楽しませる」ものであり、いま火山の噴火という題材で芸術を提供するのは「不謹慎」ではないか、という考えも浮かびます。
しかし(そもそも人類の文明が河川の氾濫する地域から生まれたように)、自然の脅威という困難が目の前に立ち現れたときそれに触れることを避けるのではなく、その脅威についてよく考えることが人間に備わった力を磨くのだ、というのが宮沢賢治の考えだったのではないでしょうか。人間というのは、神の怒りを恐れてただ待っているだけの生きものではなく、こうして脅威と向き合うことで、やがて「脅威」を「恵み」に転じさせることができる存在なのだと、賢治は信じていたと思います。
宮沢賢治は、日本人にとって最大の脅威は火山であると考えて、人生の最後に、火山の噴火という問題と向き合う人物を主人公にした話を書いたのではないでしょうか。
そして同時に、人々がそれについて関心を持つためには、そこに「楽しさ」が必要であり、「楽しさ」がないものには人間は目を向けない、という現実的な認識を持っているところが賢治の凄さに違いありません。
『グスコーブドリの伝記』は、SF小説としての「楽しさ」を魅力として、日本に住む者が活火山という最も身近な脅威に目を向けることを願って書かれた、賢治の芸術的遺言だと思います。
賢治の願いに耳傾けるとき、いまこそ「『グスコーブドリの伝記』をやらないわけにはいかない」と感じます。
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演出:宮城聰
作:宮沢賢治
脚本:山崎ナオコーラ
ドラマトゥルク:西川泰功
音楽:棚川寛子
出演:阿部一徳、池田真紀子、大内米治、木内琴子、大道無門優也、本多麻紀、美加理、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、渡辺敬彦
1月17日(土) 15:00開演、18日(日) 14:00開演、24日(土) 15:00開演、31日(土) 15:00開演、2月1日(日) 14:00開演
静岡芸術劇場
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Posted by SPAC at
12:48